地声と裏声の間が難しいのは当たり前|「変声区」を知ると高音が怖くなくなる
「高い声は出るのに、なぜか歌になると出ない!」
そんな経験、ありませんか?
地声では普通に歌える。
もっと高いところは裏声で出せる。
でも、その間の音だけ、なぜか難しい。
声がひっくり返ったり、喉に力が入ったり、どっちの声で歌えばいいのかわからなくなったり。
実はこれ、珍しいことではないんです。
今日は、そんな地声と裏声の切り替わり付近にある「変声区」の話をします。
これを知るだけで、高音に対する考え方がずいぶん変わるかもしれませんよ。
そもそも「変声区」って何?
人間の声には、地声から裏声へと切り替わるとき、声帯の働きや身体の使い方を調整する必要がある領域があります。
ここでは、その切り替わり付近を「変声区」と呼びます。
例えば、階段を上っているとしましょう。
途中までは普通に上れる。
その先も、上り方を変えれば進める。
でも、途中にちょっと足場の難しいところがある。
そんなイメージです。
変声区は、いわば声の階段の途中にある、ちょっとした難所。
だから、そこで声が不安定になったからといって、歌が下手ということではありません。
長年練習している人でも、この領域の調整が難しいことはあります。
大切なのは、「なんでできないんだ!」と自分を責めることではなく、「ああ、ここが自分の声の切り替わる場所なんだ」と知ること。
それだけでも、練習の仕方が変わってきます。

最高音が出るのに、歌えない曲があるのはなぜ?
ここが今回、一番伝えたいところです。
カラオケでキーを決めるとき、皆さんは何を基準にしていますか?
おそらく、一番高い音が出るかどうかを気にする人が多いと思います。
「この曲の一番高い音が出た! じゃあ原曲キーで歌える!」
でも実際に歌ってみると、ものすごく苦しい。
これ、不思議ですよね。
実は、「最高音が出ること」と「その曲を楽に歌えること」は別なんです。
例えば、最高音は裏声でポンと出せる。
ところが、その少し前にあるメロディが、ずっと自分の変声区付近を行ったり来たりしている。
すると、身体は何度も地声と裏声の調整をすることになります。
これは大変です。
一番高い音そのものより、その手前の音が難しかったりするんですよね。
キーを下げると、突然歌いやすくなる理由
以前、ある方の歌のレッスンで、こんなことがありました。
原曲キーで歌おうとすると、どうも高いところが苦しそうなんです。
その方の声を確認してみると、曲の高い部分と、地声から裏声への切り替え付近の位置関係が、少し歌いにくい状態になっていました。
そこで、曲のキーを下げてみることにしました。
すると、最高音だけでなく、メロディ全体がその方の使いやすい声の領域に近づきます。
ここが面白いところなんです。
キーを下げるというのは、単に「高い音から逃げる」ことではありません。
その曲を、自分の声という楽器に合わせて調律することでもあるんです。
ギターだって、その楽器に合ったチューニングをしますよね。
歌も同じ。
原曲キーで歌うことが、必ずしも正解ではないんです。
一音だけなら出るのに、曲になると出ない
これも、よくあることです。
発声練習では高い音が出た。
でも、いざ曲を歌うと出ない。
「さっきは出たのに、なんで?」
と思いますよね。
でも、考えてみてください。
一音だけ出すときは、その一瞬に集中できます。
ところが曲を歌うときには、その前からずっと声を出しています。
息も使うし、身体も働いている。
さらに、変声区を何度も通る曲だったら、そのたびに調整が必要になります。
だから、一音出せることと、一曲を歌い続けられることは違うんです。
音域だけでなく、持久力や身体の使い方、前後のメロディとのつながりも関係してきます。

地声で頑張る? それとも裏声に逃げる?
変声区でよく起きるのが、
「ここは地声で出さなきゃ!」
と頑張ってしまうことです。
でも、地声にこだわりすぎると、喉に余計な力が入ってしまう場合があります。
反対に、
「裏声にしたら負けだ!」
と思っている人もいます。
でも、そもそも勝ち負けじゃないんですよね(笑)。
大切なのは、地声か裏声かという名前より、自分が表現したい音を、無理なく出せているかどうか。
曲によっても、声質によっても、適した方法は違います。
そして変声区の感覚は、練習によって変わることもあります。
今は難しく感じている音も、身体の使い方が変わることで、以前より楽につながることがあるんです。
無理に地声を押し上げる必要はありません。
喉に痛みを感じるような発声は避けてくださいね。
自分の声の「地図」を作ってみよう
僕は、ボイストレーニングで声域を確認するとき、単に「何オクターブ出せますか?」ということだけを見ているわけではありません。
どの音域が楽なのか。
どこから少し力が必要になるのか。
どのあたりで声の切り替えが起きるのか。
そして、どんな声の出し方なら自然なのか。
そういうことを見ています。
例えば、自分の声の地図がこんなふうに見えてきたとします。
低いところは地声で楽に出せる。
少し高くなると、切り替えが難しくなる。
その先は裏声の方が自然に出せる。
ある高さでは、少し工夫すると声がつながる。
こういうことがわかると、曲の見方が変わります。
「あ、この曲は自分の難しいところを何度も通るんだな」
「じゃあ、少しキーを変えてみようかな」
「ここは裏声を使ってみようかな」
と考えられる。
今まで「歌えない」と思っていた曲が、単に自分の声との位置関係が難しいだけだったと気づくこともあるんです。

声と喧嘩しなくてもいい
僕が長年ボイストレーニングをしてきて感じるのは、自分の声を必要以上に悪く思っている人が結構いるということです。
「高い声が出ない」
「声がひっくり返る」
「自分の声は変だ」
でも、実際に声を聴いてみると、声そのものが悪いわけではなく、使い方を知らなかっただけということがあります。
これは、僕が今「Voice Remember(ボイスリメンバー)」という考え方を大切にしている理由の一つです。
新しい声を無理に作るのではなく、自分がすでに持っている声を知り、その声をもっと自由に使えるようになる。
歌が上手くなることも大切です。
でも、それ以上に、自分の声を知って、歌うことが楽しくなる。
僕は、そんな時間を大切にしたいんです。
あなたの声の地図、一緒に見てみませんか?
「自分の変声区って、どのあたりなんだろう?」
「どうしてこの曲だけ歌いにくいんだろう?」
「自分の声には、まだ知らない魅力があるのかな?」
そんなふうに思った方へ。
Diamond Music Tourでは、「自分の声を取り戻す30分の旅|ボイスリメンバー」をご案内しています。
オンラインで30分、実際にあなたの声を聴きながら、声の特徴や呼吸、身体の使い方などを一緒に確認する時間です。
できないところを採点するのではなく、今のあなたの声を知るための入口です。
オンライン30分/11,000円(税込)
詳しい内容はこちらからご覧いただけます。
自分の声の難しいところがわかると、歌うことが少し楽になるかもしれません。
そして、今まで気づいていなかった声の魅力が見つかるかもしれません。
高い声が出ないからといって、自分の声を嫌いにならなくてもいい。
あなたの声は、あなたにしかない楽器なんですから。
その楽器の面白さを、もっと発見していきましょう。









コメント