「ピアノ、挫折したんです」。でも、本当は音楽が好きだったんじゃないですか?
「挫折した」という言葉が気になるんです
僕は長い間、音楽の仕事をしてきました。
最近は、プロのアーティストだけではなく、一般の方と一緒に歌を録音したり、曲を作ったりすることも増えています。
そんな中で、よく耳にする言葉があります。
「私、昔ピアノを習っていたんですけど、挫折したんです」
「エレクトーンをやっていたんですけど、途中でやめちゃって」
これを聞くたびに、僕はちょっと気になるんです。
どうして「やめた」じゃなくて「挫折した」って言うんだろう?
例えば、やってみたけど面白くなかったからやめた。
それなら「やめた」でいいですよね。
でも「挫折した」という言葉には、もしかしたら、もっとやってみたかったという気持ちが残っているのかもしれません。
もちろん、人によって事情は違います。
でも、僕はそんなふうに感じることがあるんです。
音楽を好きだったのに、音楽が苦手になった
昔は、ピアノの先生がとても厳しかったという話もよく聞きます。
間違えると怒られた。
思うように弾けなくて、何度も叱られた。
練習がだんだん苦痛になってしまった。
それから、学校の音楽の授業もそうです。 歌うこと自体は好きだった。
でも、みんなの前に一人で立って歌うとなると、緊張して声が出なくなる。
音程が外れてしまったり、声がひっくり返ってしまったり。
そんな経験、ありませんか?
大人だって、人前で急に歌ってくださいと言われたら緊張しますよね。
しかも学校に通ってる子どもたちは、それが「成績につながる」と思えば、真剣にもなりますし、さらに緊張もすると思うんです。 学生時代にうまくできなかったという経験から、
「自分には音楽の才能がないんだ」
と思ってしまうこともあるんじゃないでしょうか。
僕は、これってちょっともったいないと思うんです。
だって、緊張してうまく歌えなかったことと、音楽を楽しむ才能がないことは、まったく別の話ですから。

「できるものなら、やってみたいですか?」
最近、僕は音楽をやめた経験のある人に、こんな質問をすることがあります。
「もし、できるものなら、今でも音楽をやってみたいですか?」
すると、
「できるものなら、やってみたいですよ」
という答えが返ってくることがあるんです。
「だって、音楽は好きですから」
この言葉を聞くと、僕は嬉しくなるんですよね。
ああ、音楽が嫌いになったわけじゃないんだな。
自分がやるものではないと思っていただけなのかもしれない。
そんなふうに感じるんです。
そして僕は、その「できるものなら」という言葉を、大切にしたいと思っています。
音楽は、上手な人だけのものじゃない
もちろん、楽器を上手に演奏するには練習が必要です。
歌だって、声の使い方を学べばもっと自由に表現できるようになります。
でも、だからといって、上手になるまでは音楽を楽しんではいけないなんてことはないでしょう。
僕は、その人の個性や人生そのものが、音楽になると思っています。
例えば、昔好きだった歌を、今の自分の声で歌ってみる。
それだけでも、昔とは違う何かを感じることがあります。
あるいは、自分が経験してきたことや、大切な人への思いを言葉にして、一曲の歌を作ってみる。
プロの作詞家のような言葉を使う必要なんてありません。
自分の言葉でいいんです。
だって、あなたの人生は、あなたにしか経験できなかったものなんですから。

自分の歌に「いいじゃない」と言ってあげる
僕は歌のレッスンでも、よく感じることがあります。
歌っている最中に、自分にダメ出しをしてしまう人がいるんです。
「あ、今の音、外れた」
「こんな声じゃダメだ」
「やっぱり私、歌が下手だな」
そんなことを考えながら歌っていたら、楽しくなくなってしまいますよね。
だから僕は、まず自分の声に、
「いいじゃない」
って言ってあげてほしいと思うんです。
今の自分の声で、今の自分らしく歌ってみる。
誰かの歌い方を真似しなくたっていい。
そうすると、それまで気づかなかった自分の声の魅力に出会えることがあります。
自分の歌に許可を出すということは、自分自身の表現に許可を出すことでもある。
僕は、そんなふうに感じています。
昔諦めた音楽を、今から楽しんだっていい
40代でも、50代でも、60代でも。
もちろん、それより若くても、もっと年齢を重ねていても。
音楽を楽しむのに、遅すぎるということはないと思います。
今の自分で、昔好きだった歌を歌ってみる。
一度やってみたかった作詞や作曲に挑戦する。
自分のために一曲残してみる。
大切な誰かに歌を届ける。
どれでもいいんです。
そして、すぐに作品を作らなくたっていい。
まずは、昔好きだった曲を一曲、思い出してみるだけでもいいと思います。
僕は今、そんな「やってみたい」を形にするために、思い出の歌を録音する「青春の一曲セッション」や、オリジナル曲制作のお手伝いをしています。
でも、何かを申し込む前に、まず思い出してほしいんです。
あなたが本当はやってみたかった音楽って、何ですか?
その気持ちが、今もどこかに残っているなら。
もう一度、楽しんでみたっていいじゃないですか。 そして、もし「こんな音楽をやってみたいんだけど、できるかな?」ということがあったら、気軽にご相談ください。
音楽は、上手にやることだけが目的じゃない。
音楽と一緒に、人生をもっと面白くする。
僕は、そんな音楽の楽しみ方が広がっていったら嬉しいなと思っています。









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