「自分の声が好きじゃない」は、どこから来るんだろう?|1DAYボイスリメンバーで見えてきたこと
- 尾飛良幸DMT

- 5 分前
- 読了時間: 5分
先日、「1DAY ボイスリメンバー」を行いました。
今回来てくださったのはAさん。
約5時間、休憩を入れながら、声、呼吸、身体、歌、そして「自分の声をどう感じているのか」ということまで、ゆっくり向き合っていきました。
♪毎日しているのに、意外と知らない「呼吸と声」
最初に聞いたのは、とてもシンプルなことでした。
「今まで、声について何かやったことはありますか?」
Aさんは、ヨガや気功、太極拳などを経験したことはあるそうです。
ただ、よく振り返ってみると、「呼吸そのものを意識して練習した」という経験は、意外と少なかったとのこと。
これは珍しいことではありません。
私たちは毎日、何万回も呼吸をしています。
そして毎日、当たり前のように声を使っています。
でも、
「私はどうやって息をしているんだろう」
「私の声は、どこから出ているんだろう」
と改めて観察する機会は、案外ありません。
♪「自分の声って、なんとなく嫌だな」
さらに話を進めていく中で、Aさんからこんな言葉が出ました。
「自分の声って、なんとなく嫌だなって思うじゃないですか」
これも、とてもよく聞く言葉です。
録音された自分の声を初めて聞いた時、
「え? 私ってこんな声なの?」
と思った経験のある方は多いと思います。
自分が身体の中から聞いている声と、録音されて外側から聞く声は、印象が違います。
だから最初は違和感があります。
♪他人には「いい声」と聞こえていた
でも、Aさんには面白い経験がありました。
以前、ラジオに出演した時のこと。
その時、声を聞いた方から、
「いい声ですね」
と言われたそうなのです。
しかもかなり褒めてもらったらしい。
ところがAさん自身は、
「え? どこが?」
と思ったそうです。
嬉しくないわけではありません。
ちょっと嬉しい。
でも、納得できない。
「そんなはずはない」
という感じが残る。
この話が、とても興味深かったんです。
♪なぜ「いい声ですね」は、こんなに照れくさいのか
たとえば、
「その服かわいいですね」
と言われたら、
「そうでしょう?」
と比較的素直に受け取れるかもしれません。
髪型を褒められても、アクセサリーを褒められても、そこまで強い抵抗は出ないでしょう。
でも、
「いい声ですね」
と言われると、妙に照れくさい。
なんだか、こそばゆい。
素直に、
「ありがとうございます。私、いい声なんです」
とは言いにくい。
どうしてなんでしょう。
話しながら、私はこんなことを考えていました。

♪声は「持ち物」ではなく、自分そのものに近い
声というのは、持ち物とは少し違うんですよね。
服は着替えられます。
髪型も変えられます。
アクセサリーも取り替えられます。
でも声は、ずっと自分と一緒にあります。
笑う時にも出る。
怒った時にも出る。
悲しい時にも出る。
人を励ます時にも出る。
電話にも出る。
歌にも出る。
しかも、自分の気持ちや体調まで勝手に表してしまいます。
元気がなければ、元気のない声になる。
緊張していれば、緊張した声になる。
嬉しければ、何も説明しなくても声が少し明るくなる。
つまり声は、「自分そのもの」にかなり近いものなのかもしれません。
だから声を褒められると、
単に能力を褒められたというより、
「あなたそのものがいいですね」
と言われたような感覚になってしまう。
それで照れる。
それで疑う。
それで、
「いやいや、そんなことないですよ」
と言いたくなる。
♪自分の評価だけが「事実」とは限らない
でもここに、「自分の声を思い出す」ための大切な入口があるように私は思います。
Aさんの場合、実際にAさんの声を聞いて、
「いい声だ」
と感じた人が過去にいた。
これは事実です。
ところが本人だけが、それを採用していない。
他人から受け取った評価を全部信じればいい、という話ではありません。
人の評価に依存してほしいわけでもありません。
でも、
「私は自分の声をこう思っている」
という自己評価もまた、絶対的な事実ではないんですよね。
自分では欠点だと思っていたものを、誰かは魅力として聞いているかもしれない。
自分では普通だと思っている話し方に、誰かは安心しているかもしれない。
自分では嫌いだった少し低い声や、かすれや、独特の響きを、
「その声だから好き」
と思う人がいるかもしれない。
♪そもそも「いい声」って、どんな声?
声は、テストの点数のように一つの数字では測れません。
だからこそ、
「いい声とは何ですか?」
という問いも大切になります。
高い声でしょうか。
よく響く声でしょうか。
大きな声でしょうか。
滑舌のいい声でしょうか。
もちろん、それらも声の一要素です。
でも私は、「その人が無理をせず、その人の身体から自然に鳴っている声」も、とても大切だと思っています。
誰かの声に似せるのではなく、
「これが自分の声なのか」
と身体で分かる瞬間。
その時に初めて、
声を上手い・下手、好き・嫌いだけで判断しなくなっていきます。

♪声を変える前に、まず「声に会ってみる」
だからボイスリメンバーでは、
いきなり「もっといい声にしましょう」とは考えません。
今、どんな呼吸をしているのか。
どこが緊張しているのか。
声を出す時に、身体で何が起きているのか。
そして、
自分は自分の声をどう思っているのか。
そんな現在地から始めます。
声を変える前に、
まず声に会ってみる。
そこからです。
Aさんとの1DAY ボイスリメンバーも、まさにそこから始まりました。
♪ずっと直そうとしていた声の中に、魅力があるかもしれない
「いい声にならなきゃ」
ではなく、
「私の声って、本当はどんな声なんだろう?」
そんな好奇心を持って声に触れてみる。
もしかすると、
ずっと直そうとしていたその声の中に、
まだ自分が気づいていない魅力が、すでにあるのかもしれません。
自分の声は、どこかへなくなってしまったわけではありません。
今日もずっと、自分と一緒にいます。
だからまずは、
その声を少しだけ、評価せずに聞いてみる。
そこから「ボイスリメンバー=声を思い出す旅」は始まるのだと思います。 ♪ボイスリメンバー(旧ボイトレ)島








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