※このブログで紹介しているメソッドは基本的に尾飛良幸オリジナルです。
最近よく感じるのですが、歌には大きく分けて3種類のタイプがあるかと思います。 この3つのバランスが良い、あるいはどれかに非常に特化しているというのが、歌い手として魅力がある人だなと思います。
1:スキャット系
2:良い声系
3:伝わる系
順番に説明します。
1:スキャット系
下記動画のように、歌を楽器のように使って歌う手法で、音程、リズム、歌い回しなど、多種多様な歌唱スキルを必要とします。
基本的にそれらのスキルは全て「技術力」であり、歌詞をいかに届けるかという「表現力」ではありません。なので、こうした手法は繰り返しの練習にのみ習得できるものですが、逆にいうと何度も繰り返し練習すれば、比較的誰でもできるようになる可能性があるものでもあります。
最近、日本でもまるでボカロのように早口で言葉が多く詰まっていて、音程の動きが激しい歌がありますが、これはこのスキャット系に入ると認識しています。
スキャット系は、技術なので歌を聴いて言葉が心に響くというより、パッと聞き「すごい!」と感じるものになります。 圧巻のスキャット事例1
1分43秒あたりから
圧巻のスキャット事例2
4分22秒あたりから
2:良い声系
声楽やボイトレを受けると「良い声になった」と感じるようになり、より良い声を求めていくことがあります。
結果的にそれは「いかに響きが良いか」というところに着地していくのですが、「良い声=歌がうまい」と勘違いする落とし穴に陥りやすいのも確かです。しゃがれた変な声でも、人の心に届く歌を歌う人がいますから、良い声だからといって、いい歌が歌えるとは限りません。
『とにかく上手くていい声だけど、なんだか心に残らない』という歌い手は、この良い声だけを目指している可能性が多いですね。
それは「技術力」です。
技術は上記「1:スキャット系」と同じで繰り返し練習すれば、多くの人が習得できるものですが、技術はあくまで技術です。 もちろん、良い声であればあるほど、歌手としては強みになりますが、それが全てではないということです。
3:伝わる系
音程もリズムも悪いし、声も悪い。息は持たないし、高い声も低い声も出ない。でも「なんかあの人の歌、心に響くんだよな~」という人はこのタイプですね。
技術力が全くなくても、人に伝わる歌が歌える人は「表現力」がずば抜けている人ですね。これは、元々できてしまう人と、人生で色々な経験をしたことでそういう歌が歌えるようになる人がいます。
どんなに技術力があっても、このタイプの人の歌には、敵わないことが多々あります。結局「1:スキャット系」「2:良い声系」の人はパッと聴いた瞬間は「素晴らしい!」ですし、時々聞き返してみて「やっぱり凄いなあ」とは思いますが、心に歌からのメッセージが残るかというと「3:伝わる系」のタイプとはやはり違います。
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これらのタイプに優劣はありません。どれも歌う人は身につけるべきものだと私は思います。
同時に、自分はどの部分を伸ばしたいのか、どこが足りないのかも、このタイプから判断するのも良いと思います。
歌の本来の目的は、古来から「言葉/メッセージを伝える手段」であり、この先もそれは変わりません。
そして私たち歌い手は、そのメッセージを伝える担い手です。
誇りと自信を持って、自分のその使命を全うできたら良いなと思います。
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