※このブログで紹介しているメソッドは基本的に尾飛良幸オリジナルです。 「自分の歌って、今世間でどのくらいのレベルなんだろう?」って思ったこと、ありますか?
これはレッスンをしていて、よく質問されることの1つです。
「先生、私って他の人と比べてどうなんですか?」
この場合、返答は非常に慎重にしないといけません。
「みんなより上手ですよ」と言えば
『ほんとですか?レッスンだからお世辞言ってるんでしょ』となったり、褒めた途端に練習しなくなったりすることもあります。
逆に「ちょっとみんなよりかは下手かなあ」なんて答えようなら
『やっぱり才能ないんですね』と諦めてしまう。
その人が、どんなに潜在能力があったとしてもです。
こちらの答え方一つで、その人のその後の道を、大きく変えてしまう恐れもあるんです。
それだけ、この質問に対する返答は、非常に難しいものです。
歌には、多様な判断材料があるため、一概に「人よりうまい」とか「ヘタ」とかは、もちろんいうことはできません。
でも、私たちは誰かの歌を聞くと「この人の歌はいい」とか「上手だけど、心に響かない」とか「この間はいい歌だったのに、今回の新曲はあまり良くないね」とか、色々評論家になります。
これは決して、悪いことではありませんね。
自分の感性を確かめ、そして高めていくには、とても大事なことだと、私は考えています。
では、これらの評価は「何を基準に」行なっているのでしょうか?
私はこれまでの経験から、ある3つの要素がその判断基準になっていると思います。
そして私自身も、生徒さんやプロの歌を聞くとき、その3つの要素を判断基準にしています。
さらに、その3つの基準には、2つの視点が存在します。
それは聞く人が「先生的視点」なのか、それとも「プロデューサー的視点」なのか、ということです。
これは明らかに違いがあります。
同じ歌を聴いた時に、先生的視点では
「前回の歌唱より、どの部分がよくなったか」という「積み上げ式判断」で歌を聞きます。
・音程が良くなったね
・楽しく歌えるようになったね
・ずいぶん上手になった!
など、前回よりよくなった部分をきちんと伝え、その上で今の課題を説明し、レッスンしていきます。
一方で、「プロデューサー的視点」の場合は、この人が世界のトップシンガーと一緒に歌ったら、何が足りないだろうか。多くのファンから愛されるためには、今何が必要なのだろうか。という「アーティストとして完全に成熟した姿から、今は何が足りないのかを考える「引き算式判断」」になります。
なので、
・もっとスケールを大きくしましょう
・相手の心をもっとしっかり考えて
・声の響きをさらに豊かにしてください
・もっと音程を正確に取りましょう
など、言葉としては厳しく聞こえるかもしれません。
これを、いきなり歌を練習し始めた人にしてしまったら、一気にやる気を無くしますね。
なので私の場合、とにかく徹底して「先生的視点」でレッスンは行なっています。
そして「この人に、もう教えることはなくなってきたな」と感じた時に、改めてその生徒さんに、こう話します。
「もう歌のスキルはかなり身につきました。周りの人もあなたの歌をきいて「上手」と言ってくれるでしょう。でも、誰もが感動して言葉も出ない、素晴らしいアーティストになるためには、私のこれまでの指導法を変える必要があります。もしあなたが大丈夫であれば、これまでの「先生的視点」から「プロデューサー的視点」で、レッスンを切り替えようと思いますが、いかがですか?」
それぞれ、指導法の何が変わるのかを丁寧に説明して、生徒さんが納得してくれたら、正式に指導法を変えるというわけです。
でもね、不思議なもので、切り替えた後は、かなり短期間で皆さん素晴らしい歌い手に、成長してくれるんです。 それは本当に嬉しいことで、もうそうなると、その生徒さんはどこに行っても、胸を張って自信を持って歌を歌ってくれます。
さて、話を歌を判断する3つの要素に戻しましょう。
要素は次の3つになります。
・心の統制力
・技術力
・表現力
それぞれが極まるとどうなるか、という「目標」はこうなります。
・心の統制力:状況によって心に余計なムラが起こらない。本番は程よく緊張し、自己嫌悪にならず、楽しく軽やかに穏やかに音楽に向き合うことができている。
・技術力:自分は非常に楽に発声しているにも関わらず、周りで聴いている人が「どうしてそんな凄い声/いい声/多彩な声が出るの?!」と思わず言ってしまう声が出せている。
・表現力:歌詞の世界観を、聴いている人がありありと想像でき、その世界にいる主人公の想いに共感し感動することができる。
それではこれらを「できている」「できていない」を単純に分けて、図にしてみました。
そこに書いている言葉は、その歌レベルのタイプ別に、その方が心がけたら良いポイントです。
心の統制力、技術力、表現力ともに「ある」人は『理想的』な歌い手ですね。
逆にこれらが全て「ない」人は、才能がないひとなのでしょうか?
私はそうは思いません。どんな人でもやればできます。
ただ、やり方がズレると、遠回りをしてしまうことがあります。
この「全てない」人は、まず「歌・音楽そのものを楽しんでみる」というところから始めると、とても効果的です。
こういう方は、人生の中で自分を助けてくれた音楽に出会ってない、何度も聴いてしまう大好きな歌がない、という場合が多いです。
なので、ライブをみに行ったり、楽器に触れてみたり、いろんな音楽を聴いたり、歌をみんなで歌って「音楽って、一体何が楽しいんだ?」という発見の旅に出てみるといいんですね。
あ!ここで重要なことを忘れてました。
もしかしたら、今の時点で「私は、全部ないな」って思ってませんか?
実は私がこれまでレッスンしてきた中で、「全部ない」っていう方は、ほぼ会ったことがありません。歌に関心がある人は、少なくても「歌が嫌いじゃない人」であり、その時点で、その人は心の統制力の要素の1つは持っているんです。
私があった「全部ない人」は、音程も取れず、感情もなく、さらには歌すら嫌いでした。
ですので、そういう意味ではこの「歌レベルのタイプ」は、「先生的視点」でのものと言えるかも知れませんね。
さてここで、「歌レベルのタイプ」を一つ一つ紹介していくと、さらにさらに長いブログになってしまうので、本日はここまで!
続きはまたしますので、楽しみにしていてください。
実際ご自分がどのポジションなのか知りたい方は、気軽に「基礎体験コース」にお越しくださいね。歌を聞かせて頂いて、より具体的にアドバイスさせて頂きますね。
私も、お会いできるのを楽しみにしています。
尾飛良幸の
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