ポップスの曲作りをする時に、曲の「構成」は重要な要素になります。
一般的な邦楽の王道は
「Aメロディー」→「Bメロディー」→「サビ」
となります。
これを2回繰り返せば、1番2番となり、まあだいたい普通の曲として成り立ちます。
一番盛り上がる部分、そして一番主人公の「想い/伝えたいこと」が来るのが「サビ」ですね。
このサビまでの道のりが「Aメロディー」「Bメロディー」となります。
でね、曲って「徐々に盛り上がっていく」って言う印象ありませんか?
最初静かに始まって、サビに向かって盛り上がっていく的な。
確かに、そう言う曲も多いです。
でもね「歌モノ」を作る場合はちょっと注意が必要なんです。
それは『音域』です。
声は楽器と比べて、音域に制約があります。
・アイドルで1オクターブ。
・一般的には1オクターブ+2音程度。
・実力派シンガーへの曲は1オクターブ半。
と言うのが、私が考える目安です。
そうするとね、例えばアイドル曲の場合、出だし(Aメロディ)を「ドレミ」あたりで作ったとするでしょ。 そこから徐々に盛り上げるとなると、Bメロディは「ファソラ」あたりになりますよね。
そしてサビは「ソラシド」あたり。
そう考えると、かなりメロディーに制約が出てきますよね。
「こんな少ない音数で、メロディー作らないといけないのか!」みたいな。
だからね、徐々に盛り上げないんです。
サビは一番高い音域にするとして、2番目に高いのはAメロディ。
そしてBメロディーは、グンと低くするんです。
そうすると、
Aメロディーは「ミソラ」付近。
Bメロディーは「ドレミ」あたり。
そしてサビは「ソラシド」あたり。
つまり、Bメロディーの音域を下げると、サビになった時に一気に音が上がった感じになるんです。
「サビ感」が出るんですね。
ちょっとした気遣いなんですが、これが本当に重要なんです。
なぜかと言うと、何も考えずに徐々に盛り上げると、音域がとんでもなく広くなるんです。
2オクターブとか!
そこまでいくと、私も歌えるか自信がありません。
それは本当にシンガーへの思いやりがない曲!
シンガーは「いかに歌詞を聞き手に届けるか」が使命であり、広い音域を歌いこなすことが最終目標ではないですからねえ。
ちなみに、最近の日本の曲は、この「王道構成」を打ち破ろうとしている感じがします。
例えば、出だしにいきなりサビから始まる曲を「頭サビの曲」と言います。
これは、とてもインパクトもあり、よく使われる手法ですが、最近はなんと「頭Bメロの曲」が多いんです。
そうやって時代とともに、音楽もどんどん変化していってるんですね。
曲を聴く時に「構成」を意識して聴く人はほとんどいないと思いますが、作曲家にとってかなり大事にしているポイントなので、もし興味があったら、自分が好きな曲の構成がどうなっているか、注意して聞いてみてあげてくださいね。
せっかくなので、尾飛制作楽曲の動画、ちょっと貼っておきますね。
<ワークショップ開催中>
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